受変電設備工事


受変電設備とは、構内で電気を「受け」、適正な形に「変え」、必要な場所へ「配る」ための、いわば電力の司令塔。
発電所で生まれたエネルギーは、休むことなく都市や工場、家庭に送り届けられる。その背後には、あらゆるスケールの受変電設備が存在し、電圧を段階的に下げながら、電力の旅を支えている。

この設備の役割は電圧の変換だけにとどまらない。万が一の事故やトラブル時には、即座に回路を遮断し、建物と電力系統を切り離して、設備や人命を守る“最後の砦”としても機能する。

電力会社から送られてくるのは、高圧や特別高圧の電力。それを建物の用途に応じて低圧に変換し、必要な電圧・相数に整えて構内へと送り出す。この変換プロセスは緻密に設計されており、契約電力によって受ける電圧レベルも異なる。

電力は「電圧×電流」で決まるため、大きな電力を流すには電圧を上げて電流を抑える必要がある。でなければ、電線を太くせざるを得ず、設備全体のコストや効率に影響する。

イメージとして、50kW未満の低圧受電は、一般家庭や小規模店舗(コンビニ等)クラス。一方、2,000kWを超える特別高圧は、東京ドーム級の巨大施設が対象となる。

低圧といっても、用途に応じて多様な電気が使われる。家庭用の単相100V、IHやエアコン向けの単相200V、そして工場や事務所の主力である三相200V。それらは、受電方法によって電力会社が直接供給するケースもあれば、構内で変圧器を使って対応する場合もある。

電力の引き込みは、架空線または地中線で行われ、その引き込み地点に設けられるのが「受電点」。ここには開閉器(スイッチ)が配置され、点検時などに電気の流れを制御可能にしている。

電圧の変換、つまり“変圧”は、変圧器(トランス)によって実施される。内部には2つのコイルが巻かれており、その巻数比で電圧を自在にコントロール。電力の総量は変えずに、電圧を下げることで電流を増やす、まさに電力を自在に操る装置。

こうして受変電設備は、電力という見えないエネルギーを、安全にそして効率的に私たちの暮らしへと届けてくれている。